上野毛眼科 東京都世田谷区 眼科 上野毛 緑内障,白内障,ドライアイ,黄斑変性,糖尿病網膜症,眼精疲労

03-5752-41119:00~12:00 15:00~17:30 休診日:土午後/日祝

目のお話

● 白内障●
  白内障手術
 当院では、ご紹介を希望なさる患者さんは希望する診療機関にご紹介いたしますが、院長・副院長が術者となり、 東急病院(大岡山) 荏原病院各病院にて手術を施行しています。術前1回と手術日のみ前記の病院に通院していただき、 術前・術後は当院で診察治療を行います。白内障手術は希望により日帰り・入院手術で行いますのでご相談下さい。 手術は点眼麻酔による「痛くない手術」を行っていますので、安心してお受けください。
 白内障とはどんな病気でしょうか。
 「そこひ」は昔から失明する病気と恐れられていました。見えない理由を探す上で、昔のヒトは、目の瞳孔の色に注目し注意深く観察しました。 瞳孔(隙間)の中が白く見えるものを しろそこひ白内障、 眼圧が高いために角膜に浮腫(水が貯まる状態)が起こり、当てた光が散乱し、瞳孔が緑色(あお)に見える病気を あおそこひ緑内障と呼びました。また、瞳孔の色は黒色で正常と変わらないのですが、 視力が低下する病気をくろそこひ黒内障(視神経萎縮)といいました。 そのなかで現在失明することがなくなったのが白内障です。
 白内障とは、眼球の中にあるレンズ(水晶体)はその構造が規則正しくなっているために光の乱反射が起きにくく透明性が常に維持されています。 しかし、何らかの原因で、構造が不規則となり、水晶体が白く濁る病気です。皆さんが良く知っているのが 加齢白内障でしょう。 白内障が老化現象のひとつであるとよく言われますが、それは正確には正しくありません。水晶体の老化では、 水晶体内の水分が減少し、水晶体が硬くなるのみで、混濁することはないのです。90歳を過ぎても、 水晶体の中心の核が硬くなり黄色くなるだけで、視力も低下しない方も多くいらっしゃいます。何らかの要因が加わり、 水晶体の水分が増加し、はじめて白内障が起こります。 加齢白内障のほかには、糖尿病、ステロイド投与、放射線、紫外線、眼疾患の合併症などによって起こる白内障があります。 最近、紫外線が白内障をおこすので紫外線遮断のメガネをかけたほうがよいと喧伝されています。 280nm以下の紫外線は100%角膜に吸収され、300nm以上のほとんどの紫外線は角膜・水晶体に吸収され、網膜に達するのは1-2%です。 紫外線が多い雪山や南の島にいくと、痛みとともに涙が多く出て視力が落ちる角膜炎(雪目)が起きます。 これは紫外線の角膜に対する障害によって起こるのです。確かに、動物実験では、紫外線をマウスの水晶体に当て 紫外線白内障を作ることも可能です。また、ネパールなど高地に住んでいる人に白内障が多いといわれていますが、 日本ではどうでしょうか。あまり過度に心配する必要はないでしょう。なお、色つきサングラスのうち 紫外線がカットされていないものは掛けない方がよいでしょう。  
 白内障の症状は、おもに視力低下です。初期には少し見えにくくなったり、 明るいところや夜間の対向車の光が眩しいと感じる方や、疲れ眼(眼精疲労)を訴える方もいらっしゃいます。 進行すると視力が低下し霧の中にいるように見えます。  
 白内障の治療には、お薬と手術する方法があります。初期の白内障には薬物を投与することが多いのです。注意深く観察していますと、混濁になる前の水隙といわれる部分が消失することはよく経験します。水晶体には元来、自浄作用という混濁を軽減する水晶体自身の作用がありますので、実際お薬が白内障を軽減したかどうかを証明するのは実際にはなかなか難しいことです。現在、厚生労働省が白内障薬として認可している点眼薬や内服薬が数種あり、初期の白内障に利用されています。院長も副院長も若い頃に白内障の研究をし、 CCRG(Co-operative cataract research group meeting日米合同白内障学会)の国際学会で、それぞれが著名な白内障研究者の前で発表したことをなつかしく思い出します。現在においても、全世界で多くの白内障の研究をなされていますが、いまだ白内障を確実に治す薬物はないようです。   一方、進行した白内障には手術療法しかありません。手術の適応時期は白内障が進行して日常生活に不自由に感じたときです。 視力が1.0であっても明るいところで見にくければ手術を行いますし、ごく軽度の視力低下でも職業上不都合であれば手術をします。 その方々の不自由さが手術時期を決定することになります。手術では、超音波を利用した器具で混濁した水晶体を取り除き、 人工の水晶体(眼内レンズ)を眼内に挿入します。昔の手術に比べて、傷口も小さく安全な手術ですので安心して 手術を受けることができます。

●緑内障●
 現在、日本においては20人にひとりが緑内障に罹っているといわれています。 初期には自覚症状がないために、検診で見つかったり、他の病気で眼科を訪れて偶然発見されることも多く見受けられます。 昔には失明する病気と恐れられていましたが、現在では早期に診断し治療をすれば大事に至らないことが数多くあります。 40歳を過ぎたら、必ず眼科定期検査が必要です。当院では視力・眼圧・隅角および眼底検査を、また、 必要に応じて量的静的視野検査や視神経繊維層検査(OCT検査)を当院で行っています。 その時期時期において、的確な薬物療法と手術療法が求められています。 手術療法としては、MMC線維柱帯切除術、線維柱帯切開術など症例にあわせた治療が必要です。

●糖尿病網膜症●
 副院長は糖尿病専門医として、院長は増殖糖尿病網膜症に対する難易度の高い硝子体手術を行ってきた経験を生かし 、的確な糖尿病網膜症の管理治療を行います。網膜レーザー光凝固装置も配備し最適な時期に治療を行っています。
 糖尿病とはどんな病気でしょう  中高年の生活習慣病のひとつに糖尿病があります。糖尿病とは、インスリンの絶対的あるいは相対的減少によって、 血液のぶどう糖が身体の細胞に取り込まれなくなり、血中に糖が溢れてしまう病気です。生活習慣や食事が欧米化したのに伴い 近年益々増加しています。厚生省から発表された2007年の国民健康・栄養調査糖尿病実態調査によると、 糖尿病罹患者数890万人と糖尿病予備群1320万人を合わせると、全国に2210万人いると推定されています。
 糖尿病の特徴は、無症状に進行し、血糖コントロールが十分なされていない場合には種々の合併症が出現することです。 糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症が3大合併症と呼ばれていますが、そのほかに、脳梗塞や心筋梗塞を誘発することもあります
。 糖尿病にならないために、あるいは、糖尿病になったらどうすればよいのでしょうか。
 糖尿病の治療
 ①基本の第1は食事療法で、適正なカロリー制限と栄養バランスのよい食事を取ることです。間食や夜食をやめ、規則正しい食事をとり、 早食いやまとめ食いはやめるようにしましょう。最近、食物の種類によりその成分が同じでも血糖値の上昇に差があることがわかり、 食品のグリセミック(GI)指数(ブドウ糖の血糖上昇率を基準とし100にして)が示されています。 ただ、同じ食物でもすりつぶしたり茹でたりするとGI指数は上昇します。 大福もち88クッキー70ポテトチップス54アイスクリーム50オレンジジュース46ココア47果糖30 食パン95白米88玄米55)。 GIが高い食物を食べると血糖が早く上昇し、インスリン分泌が高まるので、 なるべくGI指数の少ない食品で食事をすることもが好ましいといえます。
  食品のグリセミック指数(クリック)を参照してストレスのない食事療法をしてください。
 ②2番目に、運動療法です。一日30分ぐらいで、少し汗ばむくらいの有酸素運動(ウォーキングや水泳)を血糖値が上がりやすい食後1時間から1時間半後に行うのが理想的です。その際ウォームアップとクールダウンも行ってください。できれば毎日続けたいものですが、少なくても週3回以上行うのがよいとされています。一人ではなかなか長続きしない人は、仲間と一緒に運動したり、指導者に声をかけてもらうのもよいかもしれません。しかし、糖尿病網膜症が発症した人の運動療法については注意が必要ですので眼科医に相談するとよいでしょう。
 ③第3が薬物療法
です。Diabetes Control and Complications Trial DCCT(USA 1993)、 Kumamoto Study (Japan,1995)、The United Kingdom Prospective Diabetes Study UKPDS(England,1998)によれば、 初期の糖尿病に対してはHbA1cを6.5以下に下げることが網膜症の進展をしないために重要であると結論付けた。しかし、その後の研究で、 進行した糖尿病の治療においては、強化療法はかえって心血管リスクが高まるため、ほどほどの治療が大切であると報告された(ADVANCE 2008、ACCORD 2008、VADT 2008)。
 糖尿病網膜症
 糖尿病と診断するためにも必要な基準になっている糖尿病網膜症のお話をしましょう。 現在では糖尿病網膜症が中途失明者の原因の上位を占めています。年間3000人が失明しています。 糖尿病コントロールがかなり悪い人でも初期には発症しにくいのですが、糖尿病の発症10~15年もすると 単純糖尿病網膜症(出血のみの時期)が出現し、前増殖網膜症(血管が詰まった時期)、増殖網膜症(病的な新生血管ができた時期)と 進行します。
>  前にも述べましたが、恐ろしいことに前2者の時期には無症状で、進行した増殖網膜症の時期でさえも、 まったく異常を自覚しないことがあります。眼科的には、失明を防ぐためには前増殖網膜症の時期に網膜光凝固という治療を 行うことが大切です。目の症状が出てからの増殖期では治療最適時期を逃してしまうことになります。 無症状であっても眼科定期検査がいかに重要であるかお分かりになるでしょう。内科に通院していても眼科に一度もかかったことのない人や、 途中で眼科定期検査を中断した人に進行例が多いのも事実です。
単純網膜症
前増殖網膜症
増殖網膜症

 さらに重要なことは、検診で撮影される眼底写真のみで糖尿病網膜症を診断する危険性です。 眼底写真では、眼底のほんの一部しか写らないため、写っていない部位に網膜症があることは多く経験します。 眼底写真撮影は単なるスクリーニングとお考えください。1997年のアメリカで、増殖糖尿病(日本の分類では前増殖網膜症も含む)の 見落とし率を調べたところ、一般内科医では52%、糖尿病内科医では33%、眼科医でも9%があったと報告されています。網膜症の治療おいて、 前増殖網膜症を見逃さないうえでも、必ず糖尿病網膜症をよく知る日本眼科学会認定眼科専門医による眼底検査がいかに重要です。
 十人に一人が糖尿病といわれている現在、糖尿病にならないためにも、糖尿病になっても合併症を併発させないために、 正しい食事と運動をする生活習慣身に付け、気軽に眼科眼底検査を受けてください。

●仮性近視の治療●
   当院では、仮性近視に対して調節力を改善する器具ワック、低濃度アトロピン点眼特殊な眼鏡装用で加療しています。 子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、遠くを見たときに、焦点が網膜の前方に結ぶことによって生じます。 近くで見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一旦、眼軸長が伸びてしまうと回復はしません。 そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。 低濃度アトロピンの点眼には眼軸長を伸展させる働きのあるムスカリン受容体をブロックする効能があると最近わかってきました。 また、累進焦点レンズの眼鏡をかけることで、眼軸長延長の予防効果があるともいわれています。必要によって眼鏡処方も行っています。 これらを併用することで、近視の進行を抑えるよう治療しています。
 当院で治療した平成22年度における仮性近視のワックとミドリンP点眼による治療結果を示します。 右眼:50眼中30眼、左眼:51眼中38眼が視力2段階以上改善した。


●近視進行抑制の治療●
  裸眼視力0.3未満の割合は、2010年には小学生の7.6%、中学生の22.3%、高校生の25.9%と、1979年に比べて小学生では3倍に、中学生では1.7倍に増え、 近視の増加が指摘されています。 近視の発症には遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると昔から考えられています。 遺伝的要因では、片親が近視の人は2倍、両親が近視の人は8倍のリスクがあるといわれています。 環境因子としては、近業により近視は進行し、屋外活動の多い人ほど近視の進行がないと報告されています。 今まで、近視の予防あるいは進行抑制には、近業作業の後に遠くを見てリラックスさせることぐらいしか方法はありませんでした。 しかしながら、近年、近視では眼軸長(眼球の前後の長さ)が延長することで進行することが明らかになり、 眼軸長を伸ばさないようにする以下の種々の方法が有効であると研究され、報告されてきました。 
  眼科での治療
①0.01%低濃度アトロピン点眼薬投与

 羞明や近見障害を認めず、日常的な使用が可能で、近視進行抑制効果を有すると報告されました(Ophthalmology.2012)。 2015年の米国眼科学会(AAO)では、これまでの研究において、未治療群の小児と比べ0.01%アトロピン点眼薬投与群では近視の進行を約60%が 抑制する効果も明らかになり、6-12歳の小児でも安全に使用できることが確認されました。台湾では80%の眼科医が低濃度0.05%アトロピン点眼治療を標準的治療として行っていて、 強度近視の有病率が低下しています。
②軸外収差抑制コンタクトレンズ 抑制率50% 
 作用機序は軸外収差(網膜周辺部における網膜後方へのピントのずれ)の抑制によります。一日交換ソフトコンタクトレンズ (シード 1day Pureマルチステージ)や2W交換ソフトコンタクトレンズ(バイオフィニティマルチフォーカル・シード 2weekPureマルチステージ)が あります。一日交換ソフトコンタクトレンズは便利と思われます。
③オルソケラトロジー
 作用機序は軸外収差抑制コンタクトレンと同様、軸外収差の抑制で、抑制率も軸外収差抑制コンタクトレンズに近似しています。 現在のところ、単独では実用可能で確実な近視進行抑制法でありますが、現在、18歳未満の適応は日本眼科学会では承認されていません。
④累進多焦点メガネ = MCレンズ 抑制率15%
 作用機序は近業時の調節ラグ(網膜中心部における網膜後方へのピントのずれ)の抑制です。 いわゆる中年以降の老眼に使用する遠近両用メガネで、近業時の調節を軽減することを目的としています。 近業時に眼鏡レンズの下方を使わないと効果はなく、近視進行抑制効果が弱いといわれます。
家庭での注意
 今まで同様に生活での注意は必要であることはいうまでもありません。
1.正しい姿勢で明るいところで勉強や読書をしましょう。
 背筋をきちんと伸ばし、眼と本は30cm離して読みましょう、寝転んで読んだり、バスや電車の中で読んだりしないようにしましょう。 勉強や読書を1時間ぐらいしたら、10分間くらい目を休ませることも必要です。照明は300ルックス以上の明るさで、 部屋の照明以外に白熱電球なら40~60W、螢光灯なら15~20Wの追加照明がある方がよいでしょう。
2.外で過ごす時間を十分確保してください。
 昔の小学生は学校から帰ると外で遊んでいたものです。今はゲームをして家の中での日常が増えてきました。 戸外での活動が多いほど近視の進行は抑制されます。外で運動することをご家族の中で話し合ってください。

【低用量アトロピン点眼で近視進行を長期抑制―2015年11月第119回米国眼科学会で発表】
 低用量アトロピン点眼薬では、高用量に比べて僅かな副作用で、小児の近視進行を大幅に抑制するという5年間の臨床試験の結果を紹介した。
また、低用量のアトロピンは瞳孔散大を1mm未満に抑え、6-12歳の小児でも安全に使用できることが確認された。 一方、これまでの研究において、未治療群の小児と比べ0.01%点眼薬投与群では近視の進行を50%抑制する効果も明らかになっている。 ただし、「低用量投与群の9%に最初の2年間での効果が認められなかった。

【マルチフォーカルコンタクトレンズを用いた近視のコントロール】
  Multifocal Contact Lens Myopia Control
  Jeffrey Walline, OD, PhD. Optometry and Vision Science:1207-1214,2013
 近視度数が-1.00~-6.00で1.00D以下の乱視の8~11歳の小児40名に対して、CooperVisionのProclear Multifocal (注: 日本で売られているプロクリア ワンデー マルチフォーカルではなく、ロート社のiQ14マルチフォーカルと 同一デザインのレンズ)のDタイプ(中心遠方)、加入度+2.00Dのレンズを処方し、2年間経過観察した。 レトロスペクティブに集めた単焦点のソフトコンタクトレンズを使用している同年代の小児のデータと 近視の進行について比較した。
 2年後、マルチフォーカル群は単焦点群より有意に近視の進行が遅く (マルチフォーカル群-0.51Dに対して単焦点群-1.03D)、眼軸の伸長もマルチフォーカル群が有意に少ない結果でした (マルチフォーカル群0.29mmに対して単焦点群0.41mm)。
 この研究では、光学中心が遠用度数のマルチフォーカルソフトコンタクトレンズ近視の進行を50%遅らせたことになる。

●神経眼科●
 日本神経眼科学会評議員ですので、特殊疾患である視神経疾患、複視疾患などを今まで数多く診察してきました。

●ぶどう膜炎●
 東京慈恵会医科大学付属病院眼科でぶどう膜専門外来の非常勤講師をしています。

●眼精疲労●
 眼精疲労は種々の原因で出現します。その原因を見つけることはなかなか難しいものです。 当院では、原因の精査と眼循環をよくする治療を行っています。「目のお話-眼精疲労」に詳しく書いてあります。参考にしてください。
院長がわかりやすく解説しています。 ←クリック

●スポーツビジョン●
 私たちは、外部からの情報を五感、つまり、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚から得て生活しているが、そのうち少なくとも約80%は視覚から得ているといわれている。 スポーツを行う時には、視覚はさらに重要である。イチロー選手や松井選手は動体視力がよいとよくいわれるが、スポーツのほとんどの一流選手は視機能がよく、視機能を訓練するとスポーツ能力も高まるのではないかといわれている。
視機能とは
 見えるということはどういうことであろう。視機能にはいろいろなものがある。皆さんが知っている視機能の一つに視力がある。視力とは一般に中心視力のことをいい、ものを中心で見たときの白黒(100%コントラスト)という極端な差を区別できる能力である。視力が良い人が視機能すべてに秀でているかというとそれは違う。100%コントラストでない白と灰色の指標がどの程度まで見えるかという能力も重要である。日常では100%のコントラストを示す物は少なく、コントラストの低い状態で物を区別しなければならない。
  見える範囲がどの程度あるのかというのが視野である。目や脳の病気がない限り視野が狭くなることはない。しかし、日常生活においては、テレビゲームに夢中になったり、高速道路を高速で運転しているときには視野が狭くなったり感じる。この視野を一般の視野と区別して有効視野という。意識を集中することにより大脳で制御され狭くなると思われる。スポーツではこのような有効視野を広くすることも重要である。空手や剣道などの武術で用いる、八方眼(集中しないで相手の目を見つめたまま、眼球を動かさずに、相手全体を見て、相手の動きにすばやく反応すること)や、サッカーやバスケットボールでも、ボールを扱いながら他のプレーヤーも見るにも有効視野が重要である。
 また、2つの眼で物を立体的に見る能力も大切である。さらに、見る時には眼を固定して見ているわけではなく、実際には眼球の動きも重要な要素である。
 スポーツと視機能を考えるにあたり、スポーツビジョンという概念が生まれ、 American Optometric Association(AOA)では、スポーツに必要な視機能として、17項目を挙げている1,2)。 静止視力、動体視力、周辺視力、深視力、眼球運動、視覚化能力、瞬間視力、調節時間、眩しさからの回復時間(明順応)、眼の回復能力、色覚、利き目、視覚記憶、中心/周辺認識力、空間の位置間隔等であるが、 実際には測定が困難なものもある。わが国では、静止視力(一般の視力)、 動体視力(kinetic visual acuityとdynamic visual acuity・水平に動くものの視力と前方から近づいてくるものの視力)、 コントラスト感度(コントラストが100%でないときの感度、コントラストが100%の時の感度は視力を意味する)、 眼球運動、深視力、瞬間視力、眼/手協調運動(もぐらたたき)立体視の8項目を測定している。
 野球の打撃では、静止視力、動体視力、眼球運動、調節輻輳、など多くの要素が重要だが、アーチェリーでは静止視力が最も重要である。ゴルフでは動体視力は要らず、立体視が重要です。ランニング、水泳、体操では静止視力もあまり重要ではない。スポーツ毎に必要な視機能が異なる。静止視力とは、視標の暗い部分が黒(視標のコントラスト比85%以上)となるコントラスト感度を表している。静止視力が悪ければ、コントラスト感度も低下する。動体視力が静止視力より上回ることはない。物を追従視したり、すばやく見るときに関連する眼球運動、奥行きを感じる能力である深視力、瞬間的に認知する瞬間視力、視覚から得られた情報を手で反応する能力である眼/手協調運動などのすべてにおいて、静止視力が良好でないとこれらの能力も低下する。つまり、静止視力を最適に矯正することがスポーツパーフォーマンスを向上させる意味で最も基本的な事項である。
スポーツ選手の視力矯正
 運動部学生を対象に行なったアンケート調査報告では、日常生活で何らかの視力矯正をしている者は対象の33%であり、その矯正方法は眼鏡46%、ソフトコンタクトレンズ(SCL)44%、HCL19%、使い捨てCL2%であった。しかし、競技中、何らかの視力矯正をしている者は23%と減少し、日常に視力矯正している者の2/3しか、運動時にも矯正していない。スポーツパーフォーマンスを高めるためや、視力不良により眼外傷の発生が増加することを考えると、適切な視力矯正が必要である。スポーツ時の視力矯正方法としては、SCLが最も多く76%であり、ハードCL16%、眼鏡7%、使い捨てCL3%であった。SCLによる矯正が増加した理由として、眼鏡におけるレンズの汚れ曇り易さや接触時の眼外傷発生の危険性が少ないこと、視野が広く取れること、HCLより脱落しにくいことが挙げられる。
 スポーツ少年団の小学生の調査結果では、小学生の7.3%が普段から眼鏡を使用し、そのうちの11.6%のみがスポーツ時に視力の矯正をし、その矯正手段はすべて眼鏡であった5)。これは、ほとんどの小学生は普段からコンタクトレンズ矯正をしていないことによる。
 マラソンや野球では眼鏡矯正でもかまわないが、バレーボールやバスケットボールではコンタクトレンズ、特にSCLでの矯正が必要である。どの矯正方法を選ぶかは、競技による視力の重要性、相手やボールとの接触頻度、激しい眼球運動によるCLのずれや、眼鏡のくもりなどを考慮して考える必要がある.なお、スポーツ用眼鏡にはガラスレンズではなく、割れにくいポリカーボネート素材が推奨される。
以上の調査結果をみても、スポーツ時には、一般的に良好な視野が得られ、かつ、ずれにくく落ちにくいSCLによる矯正が有用と思われる。
●中高年の眼症状●
平成18年5月22日、院長が東急病院公開講座で行なった内容を載せました。 参照
第42回 公開講座(平成18年5月22日開催)
「中高年の眼症状」
講師:上野毛眼科院長・東急病院非常勤医師・鎌田芳夫

 若い頃には何も異常がなかった身体も、長い間使っているといろいろ故障が出てきます。どこかが故障すると症状が現れますが、症状に気付いているにもかかわらず、そのまま放置し重症になってしまうのは、感心したことではありません。
症状には、すぐに対処しなければならない重大な症状もあります。病気の治療は、昔から早期発見・早期治療といわれます。危険な症状をいち早くキャッチし、治療することが、眼科領域においても同様に大切なことです。
 今回は、いろいろな眼症状の種類をどのようにして発生するかを目の構造をお話した上で、理解していただき、眼症状を引き起こす疾患について述べたいと思います。
1.目の構造

  2.眼症状
 組織のどこに病気があるかによって、現れる症状は当然異なります。診断では、症状からどこに病気があるかを類推する。
 a. 眼脂(めやに)-眼瞼/結膜
 b. 異物感-眼瞼/結膜/角膜
 c. 眼痛
  ① 眼瞼の痛み-眼瞼
  ② 眼表面痛-角膜/結膜
  ③ 眼深部痛-ぶどう膜/眼窩/視神経
 d. 流涙-角膜/鼻涙管
 e. 目の充血-結膜/角膜/ぶどう膜
 f. 白目の出血-結膜
 g. 羞明-角膜/虹彩/水晶体/網膜/視神経
 h. 視力障害-屈折異常/角/水晶体/網膜/視神経/脳
 i. 視野異常-網膜/視神経/脳
 j. 変視症/小視症-網膜
 k. 飛蚊症-硝子体/網膜
 l. 複視-筋疾患/脳  m. 眼精疲労
3. いつ眼科受診した方がよいのですか
 急激な発症は早めに受診した方が良い。ゆっくりとした発症は急がなくて良い
 a. 直ちに眼科を受診した方がよい目の病気   ① 急激な視力障害―急性緑内障発作・網膜中心動脈閉塞
 b. 緊急受診でなくてもよい
  ① 急激な視力障害―視神経炎・角膜炎・眼底出血
  ② 飛蚊症―網膜剥離
  ③ 眼痛など
4. 中高年の代表的眼疾患
 a. 白内障
 b. 緑内障
 c. 糖尿病網膜症
 d. 加齢黄斑変性
 e. 眼精疲労
 f. ドライアイ

●眼瞼・眼窩疾患●
 逆さまつげ・眼瞼悪性腫瘍・眼窩腫瘍の診察と手術を今まで数多く行ってきましたので、ご来院ください。

●中高年のめがね●
 若い頃には、眼鏡を遠方に合わせても、遠くから近いところまではっきりと見 えます。しかし、45 歳を過ぎた頃より、 近くの文字がぼやけて見えるようにな ってきます。これが年齢による調節力の低下、老眼(老視)です。私が最初に 老眼であることに気づいたのは、子供が学校のハモルダを私の目の前に持って きた時です。思わず目から離してしまいました。 老眼とはほんとうに不便なもので、細かい近作業をする時、物を遠ざければ小さくて見えないし、近づけば 老眼でぼやけて見えないのです。
 老眼になると、遠用のほかに近用の眼鏡を作ります。老眼鏡には、
①近用の 単焦点の眼鏡(近くのみが見える眼鏡)
②遠近両用の二重焦点眼鏡(遠用レンズの中の一部に近用のレンズが入る、 境目のあるレンズ、遠くと近くが見えるレンズ)、  ③遠近両用の累進焦点眼鏡(遠用から近用レンズの変化がなだらかな、境目のないレンズ、 遠くから近くまでどの距離でも見えるレンズ)があ ります。
 眼鏡の不具合が、眼精疲労の原因となることもありますので、それぞれのレンズの特徴をよく理解して、 どのような眼鏡を作るかを考えることが大切です。
 単焦点レンズでは、眼を動かしながらレンズのどこで見ても焦点が合うため、本を長時間読んでも疲れることが少ないのです 。 しかし、近くのものしかはっきり見えないことや、近くを見るときに、遠用眼鏡から近用眼鏡に変えなければならないことなどが欠点です。
 二重焦点レンズや累進焦点レンズでは、ひとつの眼鏡で遠くも近くも見えるのが最大の利点です。しかし、近用部分のレンズが小さいため、 長時間本を読んでいたりすると疲れます。近用眼鏡としての累進焦点レンズは、眼鏡をかけかえないでも近くが見える程度に使用するものと 考えてください。また、レンズ の上方で遠くを、下方で近くを見るので、階段を下りるときには顎を引いて見ないと、 レンズの下方にある近用部を使ってしまい危険です。
 二重焦点レンズは、遠用と近用の単焦点レンズなので、歪みは生じにくいのですが、視線が遠方と近用のレンズの境目を横切ると、像がジャンプします。
 累進焦点レンズは、レンズの焦点が遠方用から近方用に徐々に変化するので、急激に眼球を動かす時に像の歪みが生じやすくなります。一般に、 眼鏡をかけたことがない人や、60 歳をすぎてから初めて累進焦点レンズにする人は、使いこなすまで時間がかかるといわれています。
 普段は遠近両用眼鏡、長時間本を読む時には近用単焦点眼鏡の2種類の眼鏡 を持っているのが便利であると思います。
 眼鏡枠の選び方も重要です。眼精疲労の原因として、眼鏡枠の不適切も考えられます。全く知識のない眼鏡屋さんで作ったのではないか、 と思われる眼鏡をかけていらっしゃる患者さんもたまにいます。累進焦点レンズの場合は、レンズの上下幅が 35mm 程度の枠がよいといわれています。あまり大きい眼鏡を選ぶと、 眼鏡の枠全体を使って見てしまい歪みを自覚しやすくなります。逆に、あまりにも小さすぎるとレンズの必要な部分が入りません。また、顔や鼻の格好に合う眼鏡枠を選んでください。 細い針金のような枠は掛け方によっては曲がりやすく、最適な位置からずれることが多いので、適していません。
 眼精疲労 を起こさないために、眼科医と眼鏡屋さんに的確なアドバイスを受けながら、あなたに合った眼鏡を作成することをお勧めします。

●小児は眼帯をしてはいけないのか●
 それは形態覚遮断弱視(けいたいしゃだんじゃくし)という難しい名前の障害が生ずるからです。つまり、形が見えないために視機能 (見る機能)が発達しないで起こる機能的な視力障害です。本来は同じ映像が同時に両眼に入るわけですが、幼小児の一時期にうまく入らないと、 入らない目の視力が落ちてしまうのです。
 お母さんのお腹の中にいるとき、赤ちゃんはまだ物を見ていません。オギャーと生まれてから少し経って眼を開いて物を見るようになるのです。 その時から、網膜から脳の後頭葉に至るまでの見ることに関係する神経組織が構築され視機能が発達します。視力の発達過程を見ると、 生まれて直ぐは光しか見えません。その後ぼんやり見えるようになり、生後6ヶ月で0.1ぐらいです。1歳で0.2~0.3、3歳で1.0に達すると いわれています。視力の発達は1~2歳までが顕著です。また、人間の眼球は正面に2つ付いていて、両方の目を使うことで物を立体的に見ることが できます。これを両眼視機能と呼びます。ディズニーランドで特殊のメガネをかけると画面から犬が飛び出して見えた経験がある人もいるでしょう。 これは両眼視機能が備わっているからです。この機能も生後1歳頃より可能となり、6歳くらいに完成するといわれています。 生後から小学校低学年までが視機能は著しい発達するのです。この時期が人間の視覚(みるという感覚)の感受性期間といわれます。 つまり、この時期に外界から物の形の刺激を受けて視覚は発達するのです。形態覚刺激が失われると十分な発達をしないどころか、 脳内の視覚に関係する細胞が変性(障害)されてしまいます。感受性期間に眼帯をすると眼帯をした目では物をみることができず、 視力が落ちてしまいます。では、どのくらいの期間が遮断されていたら弱視になるでしょうか。感受性の強さの時期にもよりますが、 生後18ヶ月以内では1週間の眼帯装用で視力低下をきたす例もあります。しかし、個人差もありますので、すべての人が弱視になるわけではありません。 生まれつきに、まぶたが下がっている人や、白内障(眼のレンズの濁り)、中等度の遠視のある人では、同じように鮮明な像が網膜に結ばず、弱視になります。
 以上から、結膜炎やものむらいになった時にむやみに眼帯をするのはよくありませんので注意が必要です。

●ゴルフと眼障害●
 近年、余暇を楽しむ生活が推奨されてから日本のゴルフ人口は急激に増加し、1200から1300万人といわれている。 ゴルファーの年齢分布はほとんどが25歳以上で、他のスポーツをやめてしまう年齢でもゴルフをすることができ、 中高年ではゲートボールに次いで対象人口の多いスポーツである。また、若年ゴルファーより中高年ゴルファーの方が頻繁にプレーをするため、 ゴルフによる眼外傷はスポーツ外傷全体からみた場合はそれほど多くはないが、中高年の男性においてはゴルフ(23.0%)、テニス(22.2%)、 ジョギング(21.0%)といったスポーツによる眼外傷が上位を占める。中高年には社会的地位も高い人も多く、  また、ゴルフ外傷は重篤のことが多いため、障害による社会的損失も大きいと思われる。
ゴルフ外傷の原因としては、ゴルフボール、スイング時の砂や小石、あるいはゴルフクラブによるものである。その中では、 ゴルフボールによる事故が多い。ゴルフボールは硬く,重量は45.93g、その打球の初速も300km/時と速いため、 ゴルフボールの持つ運動エネルギーは大きく、当たった時の衝撃は大きい。眼球の1/3から1/2の部分は顔の骨より前方に出ているため、 骨が眼球を保護することができず、眼球に直接ゴルフボールがあたった時には重篤な障害が引き起こされると容易に想像される。
  ゴルフボールによる眼外傷は同伴プレーヤーによるもの44.9%、他のプレーヤー55.1%と意外に他のプレーヤーの打った遠距離の球も多い。 至近距離からの打球、多くは打つ人の前あるいは横にいたためにシャンクしたボールにあたった例では特に重傷例が多い。
  ゴルフ眼外傷を避けるためには予防が最も大切で、キャディーを含めたパートナーの安全を常に考慮しプレーすることに心掛けなければならない。


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